春の夜明け、ぼんやりとした明るみの中、
小鳥達が梢の先で不思議なリズムを交わし合うとき、
それは仲間に花のことを語っているのだとは思いませんか。

 人も恋をすると花に心をひかれます。
何も言わない、ただただ甘い香りの花ならば、乙女心もとかすのでは。

 原始時代の男は、好きな女性にはじめて花輪を捧げたとき、
それによって獣(けもの)のこころから脱け出しました。
野性をおさえて、人間らしくなりました。
そして無用と思っていたものにも微妙な使い途があることを知り、
人は芸術の世界に足を踏み入れたのです。

 岡倉天心、茶の本、花の章より


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関谷雄輔 sekiya@sekiya.net